2008年08月19日

浪漫ホテル


オレは、空港に降りたって、迎えのリムジンに乗る。

リムジンは音もなく滑り出して、陽が傾き始めたドイツの田園風景を縫うように進む。

“今宵の宿”である「ポッキー・カール・オープンエアー」へ向かうリムジンの車内で、オレは冷えたギムレットを飲む。

日本からの長旅の疲れで、いつしかまどろんでいたようだ。

運転手から到着を知らされ、夢の世界から、現実に引き戻される。

リムジンを降り立った俺の前には、降るような一面の星空が広がる。

「ポッキー・カール・オープンエアー」の支配人が、控えめな笑みを浮かべ、オレを出迎える。

「おめえさま、よう来なすっただ」

ホスピタリティ溢れるポッキー・カール流だ。

「予約してあるKingorawだ」
「へえ、最上級のスイートを、用意してあるだよ」

支配人自ら、オレのスーツ・ケースを持ち、案内してくれる。

そこは「トウモロコシ畑」と見まごうばかりの「トウモロコシ畑」だ。

その一角に荒縄で囲った「スイート・ルーム」がある。

堂々たる「わらのダブル・ベッド」が嫌でも眼に付く。

「おめえさま、まんまの用意が出来てるが、どうなさる」

支配人は、50メートルばかり離れたところのテント張りの「炊き出し所」のようにも見えるレストランを指さす。

「いや、疲れてるんだ。今日はおとなしく早めに寝るよ」

支配人が離れていった後、オレはタキシードと蝶ネクタイのまま、わらのベッドに入る。

枕のところに「火の用心」のハリガミ(ドイツ語)が張ってある。

服を着ていても、あかぎれにわらが刺さって、チクチク痛い。

オレは星が瞬く空を見上げ、涙のにじんだ眼で、流れ星を見つめる。

忘れられない一夜になりそうだ(笑)
posted by kingoraw at 04:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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