ワトソン君、簡単な推理の演習として、この事件の話をしよう。
まず、グロック17を忘れたこの女性私服警官は、ヒップホルスターをしていたね。
なぜなら、脇に吊すショルダーホルスターなら、トイレに入ったからといって、外す必要ないからね。
ここまでは初歩だ。
ヒップホルスターをして、トイレに入る。
ホルスターを外す。
さて、問題は、これをどこに置いたかだ。
ボクはロンドンのトイレ、詳しいよ。
でも、女性トイレには詳しくない。
なぜなら、残念ながら、ワトソン君、私は男だからだ。
しかし、私には分かる。
まず、このトイレは、腰を下ろした背後に、水洗の貯水タンクがあるタイプだ。
想像してみたまえ。
トイレに入る。ヒップホルスターを外す。タンクの上に置く。
全ての作業が終わる(意味は君にも分かるだろう?)
ズボンをはいて、前ファスナーを閉めて、人心地つく。
その安堵感は、経験した者でなければ想像できないだろう。
私も、例の「まだらの紐」事件の時、君には言わなかったが、腹の調子が悪くて、何度も危機に陥ったものさ(笑)
その安堵感が、タンク上のグロック17を失念した第一の理由といっていいだろう。
また、グロック17をタンクに置くのでなく、ドアのフックに掛けていたらこんな事にはならなかったろう。
タンクの上に置いた、これが、この忘れ物事件の第二の真相だ。
全ての不可能を排除したら、彼女はタンクの上に拳銃を置いたことが分かるのさ。
ヤードは、これから、拳銃はドアのフックに掛けるように警官を指導しなければならなくなるな。
え、なぜ、ズボンだったか分かるのかって?
それは、分かりきったことさ。
スカートに“ヒップホルスター”は似合わないからだ^^
それと、はっきり指摘しておこう。
安堵感が今度の謎の事件を産んだとすれば、この女性私服警官は「下痢をしていた」
これが、私が、白日の下にあきらかにした最後の衝撃の真相だ。
下痢→焦り→「スタバ」発見→トイレ直行→空きトイレ発見→「絶大なる安堵感」→その瞬間の脱力→入る→外す→置く→する→あげる→閉める→出る→表情を作る(笑)
彼女は、少なくとも訓練されたプロの警官だよ。
下痢という非常事態でなければ、この時間経過の中で、拳銃を忘れることにはならないだろう。
それは、君にも分かるだろう。
ただ、この一連の流れで、拳銃を忘れるほど“私的感情”に左右されるとすれば、私は警視総監に、彼女をSPから外し、風俗課に配属するように、忠告するつもりだ。
なんだって?
この一連の推理で何が分かったのかだって?
凡人には、この推理の意味する重大なものの価値は、永遠に分からないだろうな。
どうだいもんじゃ焼きでも食いに行こうか(笑)
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